OLの日経225成功談

日経225で自己実現

 「コスモ石油が育毛剤の製造・販売を行なうらしい」。  この11月末、こんなニュースが話題になった。石油の先物取引 会社と育毛剤とは、どう考えてもイメージが結びつかない。いったいどういうことなのか?  実は彼らは、3年前から美容室向け化粧品大手のミルボンと共同で、育毛剤の研究開発を続けてきた。この度、共同事業契約を締結し、医薬部外品の認可を厚生労働省へ申請するという。認可が降りれば、ミルボンが顧客に持つ約3万5000軒の美容室へ提供されることになるというから、大きなビジネスチャンスだ。  この育毛剤のスゴイところは、毛根細胞に直接浸透して活性化させること。先物取引 の脂の除去や血行の改善を主な目的とする従来の育毛剤より、育毛作用はかなり強そうだ。思わぬ強力なライバルの出現に、育毛剤各社は戦々恐々だろう。 植物の育成や人間の育毛にも効く! アミノレブリン酸の驚異の実力  その育毛作用の秘密は、原料となる「5-アミノレブリン酸」(ALA)という化学物質にある。これはどんな原料なのか?  意外なことに、「その研究開発は、同社の主力事業であるガソリンとは直接関係のないきっかけから始まった」(コスモ石油)という。以前、研究室のある職員が、自由研究中にALAに注目したのが始まりだった。研究の結果、これを薄めて使うと、植物の光合成の能力を増強し、成長を促進させることがわかったのだ。  その後、従来の化学法と比べて安く高スペックに生産できる「醗酵法」が考案されたことにより、ALAの大量生産が可能になった。  そこで同社は、ALAを配合した液体肥料「ペンタキープシリーズ」を発売。さらに研究が進められた結果、「実は鉄と結び付くことで人間の育毛効果もある」ということがわかったため、育毛剤の研究開発にも着手したというわけだ。

このALA、「ビジネスとしての将来性もさることながら、地球環境にも貢献できるのがポイント」(コスモ石油)という。  確かに世界には、森林伐採による砂漠化やCO2の増加により、「緑化」を必要としている地域は数多い。そのような地域に、植物の成長を促進するALA配合の肥料を拡販すれば、環境保全にも大きく貢献できそうだ。  関係者がこのような意欲を持つ背景には、同社が環境ビジネスばかりでなく、直接の利益を目的としない「環境貢献プロジェクト」にも、他社に先駆けて力を入れて来たという経緯がある。そんな環境への地道な取り組みが、ALA配合の肥料や育毛剤など、将来有望な環境ビジネスの発案へと結び付く「素地」を、社内に着実に作り上げて来たとも言えるのだ。  その取り組みを振り返ってみよう。そもそも同社の環境貢献プロジェクトが本格化したのは、岡部敬一郎元社長(現会長)が、「石油販売を商売にしている以上、地球温暖化防止などの環境貢献は必要不可欠」と、他社に先駆けて号令をかけたのが始まりである。  だが、地球温暖化の原因となるCO2の大部分は、消費者がガソリンを購入した後、つまり消費段階で発生するもの。同社が削減に貢献しようとしても、限界があった。 「エコカード基金」の創設により 徹底した“エコ精神”が根付く  そこで、「それなら別のアクセスで環境負荷の日経225 に貢献しよう」と2002年に創設されたのが、系列のガソリンスタンドやインターネットを通じてお客や有志から寄付金を募る「コスモ石油エコカード基金」だ。  この基金は、「コスモ・ザ・カード・オーパス『エコ』」と「コスモ・ザ・カード・ハウス『エコ』」の会員から募る年間500円の寄付金(会費)と、コスモ石油のカード売り上げの一定割合が原資となっており、それを環境保全活動を行なうNPOや公益法人に支援して環境活動をサポートするという仕組みになっている。  その規模は年々拡大しており、「今や会員数は約9万人、基金の規模は約1億円となっている」(コスモ石油)。  その基金を元手に行なわれる活動は、大きく分けて2つ。今後CO2の排出量増加や温暖化の深刻な影響が懸念される「海外地域に対する支援」、そして国内の子供たちへの「環境教育支援」である。  まず、「地域支援」の対象は主にアジア・太平洋地域となっている。たとえば、伐採や焼畑農業のせいで熱帯雨林が急速に減少しているパプアニューギニア、ソロモン諸島などにおいて、定地における「循環型有機農業」への移行を支援する「熱帯雨林保全プロジェクト」が挙げられる。人材育成施設や、モデル研修農場を通じた支援がその柱だ。

 同じく、海面上昇により、井戸水などの飲料水が汚れて水不足に陥っているキリバス共和国やツバルに対して行われているのが、「南太平洋諸国支援プロジェクト」。現地の雨水タンクを改修したり、タンクローリーを給水車として利用する一方、マングローブの植樹も行なうなど、緑の保全にも努めている(昨年度の植樹実績は1500本以上)。  中国でも、大規模な取り組みが行なわれている。「秦嶺山脈の森林・生態系回復プロジェクト」や「シルクロード緑化プロジェクト」などがそれだ。これらの地域では、07年度には、累計で12万本以上ものサジー(沙棘)が植林され、メディアからも大きな注目を浴びた。  サジーは漢方薬に使われており、育てて売れば収入にもなるというから、貧しい現地住民の生活向上にも一役買っている。  一方、国内における「環境教育支援」の対象は、主に全国の学校で学ぶ子供たちだ。たとえば、全国の学校で環境教育を手伝う「環境教育支援プロジェクト」(昨年度の支援実績は9校)、子供たちに苗木を育てさせて北海道の植林関係者に供給する「種まき塾」(昨年度は5300本以上を提供)など、地域に深く根ざした取り組みを行なっている。  長野県飯綱町で棚田や里山の再生・保全などを行なう「さとやま学校」、世界的なアルピニスト・野口健氏の指導により、佐渡や富士山などで環境体験学習を行なう「野口健 環境学校」など、子供たちが自然を肌で感じられるプロジェクトもある。   「コスモ石油は、いったい何を始めようというのか?」  エコカード基金を創設した当初、競合他社は揃って首をかしげたという。当時は、実際のビジネスと関係のない環境貢献にここまで力を入れようとは、誰も思わなかったからだ。だが同社は、その取り組みを通じて社内のエコ意識やノウハウを高め、今や新たな環境ビジネスを創出しつつある。  CSR(企業の社会的責任)が声高に叫ばれるなか、環境への取り組みを進める企業は数多い。その目的は、極論すれば、「企業イメージをアップさせて将来的な利益につなげたい」ということに他ならないだろう。  しかし、表面的な取り組みだけでは効果は薄い。真に“エコ精神”を持って地道に取り組んでこそ、イメージ面でもビジネス面でも「環境企業」として成功することができるのだ。

実は環境に深く関わる「トイレ事情」 TOTOが誇る“節水技術”とは? TOTOの「ネオレスト ハイブリッドシリーズ」は、従来のタンク型とタンクレス型のデメリットを解消した究極のトイレ。コンパクトかつ高度な節水技術がウケている。 水道直圧水で便器を洗う「トルネード洗浄」と、内蔵タンクから加圧されて流れる水で便器内から押し出す「ゼット洗浄」を行なう。  日常生活において、「トイレ」について真剣に考える人は少ないのではないだろうか。実際はなくてはならない重要な設備なのだが、あまりにも身近なため、そのありがたみにさえ気ずかない場合がほとんどだ。  しかし、「所詮、トイレなんて用を足すだけの場所」と断じるなかれ。実は、トイレは人知れず「日進月歩」の進化を続けており、最近では環境問題にも深く関わり始めているのだ。  よほどのことがない限り、トイレは長年使い続けても壊れることがない。そのため、古い住宅に住む高齢世帯のなかには、「30〜40年間も同じトイレを使っている」というケースも、少なくないようだ。  しかし、そんな古いトイレと最新のトイレを比べると、実は驚くべき「違い」がある。それは、トイレ一回当りに使用する「洗浄水の量」だ。  たとえば、トイレの代表的なメーカーであるTOTOの30年〜10年前の製品と最新製品とを、「4人家族世帯」「1日1人当り一回の大洗浄」など、いくつかの同じ条件の下で比べてみよう。  古いトイレの場合、これまでは大洗浄1回につき約13リットルもの洗浄水が必要だった。これは1年間に換算すると、約7万5920リットルもの水を使用していることになる。ところが、最新製品は、1回につき約5.5リットル、年換算で約2万6645リットルと、じつに約65%も「節水」が進んでいるのだ。    その驚くべき節水技術を搭載した最新トイレとは、同社が2007年に開発した「ネオレスト ハイブリッドシリーズ」。今や「業界最高水準の節水技術」(TOTO)を自負している。これだけの節水を可能にした背景には、たゆまぬ「技術革新」への努力があったという。  一般に、トイレは「タンク式」(トイレの外側にタンクが付いている昔ながらのタイプ)と「タンクレス式」(タンクがないタイプ)とに分けられるが、これらにはそれぞれメリットとデメリットがある。  トイレで最も重視されることと言えば、言うまでもなく「用を足した後によく洗浄できるか」だが、これがスムーズに流れさえすればOKというものでもないようだ。  たとえばタンク式は、タンクに貯めた水を利用して排泄物を流す仕組みなので、どんな環境下でも流れは比較的安定している。だが、タンクが場所を取るため、狭い一戸建てやマンションではトイレスペースが狭くなってしまい、掃除も大変という難点があった。  90年代前半にはタンクレスの「ネオレストシリーズ」が登場したが、やはり課題は残った。タンクレスはコンパクトなのでトイレ空間を広々と使えるし、使う水も少なくて済む仕組みになっている。しかし、水道直圧水を利用して流すという構造上、水圧の低いマンションの高層階などには不向きで、設置できる場所が限られてしまうケースも少なくなかった。

 これらの課題を一気にを解決したのが、便器内部に内蔵タンクと加圧ポンプを組み込んだ「ネオレスト ハイブリッドシリーズ」の登場である。  便器内を洗浄する水道直圧の水と、内蔵タンクから加圧して流れる水という2つの水流を融合した「ハイブリッドエコロジーシステム」の実現により、設置場所がどこであっても確実な排水性能と超節水が可能になったのだ。汚れが付きにくい「セフィオンテクトの表面技術」も、節水に一役買っている。 最新トイレなら水道料金で 年間約1万3000円の節約に!  実際、その「節水効果」はバカにならない。一般家庭において、前述した古いトイレとハイブリッドシリーズとを比べた場合、年間に使う洗浄水は水道料金にして3分の1、約1万3000円も節約できることになる(立方メートル当り水道料金265円計算、下水道料金を含むケース)。このような節約志向と高いデザイン性が家族世帯にウケたためか、ハイブリッドシリーズの売れ行きは発売当初から好調だという。  そもそも同社がこのような技術革新を続けてきた背景には、「環境経営への意識の高さ」があった。意外にもそのきっかけは、「トイレとは直接関係のない、96年に開発されたハイドロテクト技術だった」(TOTO)という。 「ハイドロテクト」とは、ビルや家屋の壁面、タイル、ガラス、塗料などに光触媒層を設け、そこに光が当たることで、雨水で汚れが落ち易くなり、加えて空気中の汚染物質を分解・浄化する効果もあるという、世界初の技術。これを使えば、これまで建物の清掃に使われていた水や洗剤の量を大幅に減らすことができ、水質汚染防止や空気浄化にも役立つという、「究極のエコ技術」なのである。 「この技術開発がきっかけとなり、社内では競合他社に先がけて環境を重視する気運がさらに高まった」(TOTO)。98年からは、製品設計段階からCO2の排出量把握、節水、環境汚染防止などを目指して、基準をクリアした商品を「TOTOエコ商品」に設定する独自の環境評価制度「TOTOエコ商品認定制度」を実施。その後一貫して、環境負荷の小さい製品の開発に努めて来たという経緯がある。  その結果、現在では新製品の95%がエコ製品に認定されるまでに、環境への意識が徹底したという。主力のトイレ事業から生まれた「ネオレスト ハイブリッドシリーズ」は、まさにその集大成とも言えるだろう。  世の多くの企業が大規模な環境プロジェクトを競って立ち上げる一方、このように人々の日常生活に密着した実直な取り組みを行なう企業もまた、多くなっている。  世界を見渡せば、水資源を奪い合って紛争が起きている地域も少なくない。今後はトイレを作る側だけでなく、使う側も節水への意識をより高める必要がありそうだ。この7月に行なわれた北海道洞爺湖サミットの「環境ショーケース」において、ハイブリッドシリーズの節水技術が、日本の最先端環境技術として紹介されたことからも、その注目度の大きさがうかがえる。  TOTOの技術は業界を刺激し、いまでは、INAX、パナソニック電工といったライバル他社も、節水型トイレに力を入れ、技術を競っている。  日ごろ何気なく使っているトイレだが、近い将来、その節水技術が水不足対策の一助になるかもしれないのだ。